「カロリー」という言葉をよく耳にしますが、摂取カロリーと合わせて重要なのは、消費カロリー。消費カロリーには、身体の生理機能の維持に必要なカロリーである基礎代謝量と、運動など身体活動に伴って消費されるカロリーなどがあります。基礎代謝量には心拍数同様に、年齢、性別、身長、体重などが影響します。
米国で行われたある研究では、睡眠不足が肥満と関係しているという興味深い結果が示されました13。その研究では、16 人の成人を5 日間にわたり5 時間眠ってもらうグループと9 時間眠ってもらうグループに分けて観察しました。9 時間の十分な睡眠をとったグループに比べて、5 時間しか寝ていない睡眠不足のグループでは起きて行動をする時間が長い分、消費カロリーが増加した反面、食欲が増し摂取カロリーが増え(特に夕食後の摂取が42%も増加)、その結果体重が増加しました。これは、睡眠不足が食欲に関するホルモンの乱れを生じさせることに関係している可能性があるということです。
他にも、睡眠不足はスマートフォンなどの過剰利用や長時間通勤など運動不足の要因と関係するため、消費カロリーが減少し太りやすい身体になるという研究結果もあります14。
これらの報告から、カロリーの摂取と消費のバランスを保つためには十分な睡眠がカギとなると言えます。カロリーを消費するために、睡眠時間を削って運動することは逆効果かもしれません。